イヨボヤ

イヨボヤとは、新潟県村上地方で古くから「鮭」を「イヨボヤ」と呼ぶそうです。村上では魚(イヨ)といえば鮭です。村上人が「魚の最もたるもの」とみてきた歴史のある言葉です。村上市三面川に上ってきた鮭をモデルに制作したものなので、イヨボヤという言葉を使わせていただきました。

　また、鮭は川で生まれ、ある程度大きくなると大海原へと旅立ちます。誕生して３～５年位たち大きくなった鮭は自分が生まれた川へと戻っていきます。どんな障害物があろうと、どんな人工物があろうと命を懸けて川を上り卵を産んで一生を終えます。
　水もまた、山に雨が降り一粒一粒が集まり、川となり海になっていきます。そして、蒸発し雲となり山へと戻ります。人間も命を授かり生まれて、いろいろなことを学び社会という大海原へと旅たち、また空へと還ります。
　私たちは、常に生かされて生きている。しかし何故、人間だけが自然というサイクルを破壊しようとしているのだろうか？
　鮭は、どんな障害があろうとも傷だらけになりながらも次の世代に命のバトンを渡すために、川を上っていく。鮭だけではなく、どんな動物も同じことがいえるが、私はあえて鮭の生きざまに着目したい。