女子力という言葉が使われて久しくなりましたが、今ではすっかり市民権を獲得した表現になりました。
「女子力」つまり女性としての力量、さらに言えば、若々しさを残した女性としての魅力も含めた言葉として使われているように感じます。
最近は、女性と親しくなる上でも、この女子力を持った(理解した)「女子力男子」なる男性も出現してきて、マーケティングの世界では欠かせないキーワードです。
今回は、女性が求めてやまないこの「女子力」を色と壁紙で高めることを目指して女性と深い関わりのあるピンクをテーマにまとめて行きます。
ピンクというのは色としては「薄い赤」と表現されます。
赤は人間が最初に識別できるようになった色とも言われ、もっとも古くから使われてきた色です。
活力や情熱を表し、そのエネルギーの高さから、怒りも表します。
ピンクは赤い色に純粋さやあどけなさを表す「白」を加えたものです。
そのため、ピンクは赤の意味が和らげられた性質を持ちます。
愛情、優しさ、あたたかさ、親しみやすさなど、人が人とつながったり、受け容れて欲しいといった基本的な欲求を満たしてくれる意味合いを持つのです。
一口にピンクといっても、濃いピンクや薄いピンク、青みがかったピンクに黄味の強いピンクもあります。
それぞれの色の持つイメージや特性との組み合わせを考えてみましょう。
ピンクの色の持つ意味は、色が濃いほど強めに出ます。
また刺激も強くなるので、あまり長時間過ごす部屋などにはおすすめできません。
短時間滞在するトイレや、洗面所、浴室などには、濃いピンクを広い面積(壁紙など)に使用するのも可能かと思います。
逆に長時間過ごす部屋などにピンクを使用するなら、淡い色で広めに使えば、嫌味なく、さりげなくピンクの色の恩恵を受けることができます。
ピンクの色が濃いほど赤の意味(情熱、活気、性的衝動、興奮、怒りなど)が強まり、色が薄くなるほど、本来のピンクの持つ意味(癒し、優しさ、穏やかさ、楽しさなど)が発揮されます。
ピンクが必要だと感じる時、それは何か癒しや優しさを求めている時です。
また、ピンクには色彩心理学的に見た時に、マイナス面の影響が少ないという特徴があります。
ピンクが持つ心理的な効果としては卵巣に働きかけて、ホルモンの分泌を活発にさせて脳に刺激を与えるとされています。
またピンクには短時間で気持ちを穏やかにさせる効果があり、筋肉の緊張を緩めることができるのとも言われています。
1979年にアメリカで行われた有名な心理実験では、喧嘩や傷害事件が後を絶たなかった刑務所で、所内の壁をピンクに変えたところ、問題行動が目に見えて減ったという報告もピンクの特性を表す良い例です。
前述したように、ピンクには脳に働きかけてホルモンバランスを整える作用があると言われています。
また、淡いピンクには緊張をほぐしてリラックスさせる効果が認められています。
洗面所の壁紙をピンクに変えた女性が、半年後にはお肌がツヤツヤになって若返っていたという住宅メーカーの営業の方の話にもあるように、女性にとってなくてはならない色です。
しかし、可愛らしく、可憐さを強調する色でもあることから、真面目な状況や責任感が必要とされる場にはそぐわないと言われてきました。
また日本では恋愛や性的なイメージと結びつけられることが多いので、女性性を前面に出したいときなどには有効な色です。
ちなみに、セクシャルな意味合いがある色としては国によって違いがあり、成人映画のことを日本ではピンク映画と言いますが、英語圏では青色(ブルー)フィルム。
他の国で対応する色として、中国では黄色、スペインでは緑色と言われています。
色だけでなく、形からも女性性を高めることができるか考えます。
色と形を組み合わせることで、より目指す印象への明確さを与えます。
模様などに使われる形には、それぞれ意味(メタファー:隠喩)が含まれており、それを上手に使うことで、(意図を明確に示す事なく)目指す結果を常に意識させたりすることができます。
今回のテーマである女性性の向上を、女性が持つ特質を強化することとして捉えると、豊穣、美しさ、優しさ、包容力、思いやり、寛容さ、親しみやすさ、他者への配慮などが挙げられます。
このことは、女性だけにとどまらず、男性にとっても必要なとなる内容であると言えます。
この女性的な面を高めるために提案できる色として、ピンクを挙げましたが、さらに形との組み合わせについても、考えて行きます。
バラは昔からヴィーナスの花として愛や美しさを象徴する花の代表格です。
花びらの多さは豊かさの象徴でもあります。
また重ねの多さで形に陰影が付き、複雑さを与えることができます。
下を向いた壺や、上が膨らんでいて下の方がすぼまっているような形は子宮のメタファー(隠喩)です。
子宮にはものを生み出す力や育てる力、安心といったイメージがあります。
果実は豊穣を表します。
ブドウなどの果実が寄り集まっているものや、ザクロといった女性器や多産をイメージさせる果物は、古来より装飾用の模様にもよく使われてきました。
球や丸、円などは、終わることのない永遠を表します。
また同心円のように安定的に広がる形は寛容さや安定、円満さを連想させます。
穏やかな曲線は、滞りのない流れを示し、物事が順調に行く様を表します。
左(過去)から右(未来)へと登って行く曲線は、成長や成功を表し、未来への志向を表します。
逆に渦巻きのように線の運動が巻いているものは、安定や永続性を表します。
寝室では、基本的にゆっくり休むための場所ですので、優しさや安らぎのピンクを使われると良いかと思います。
寝具などにセクシャルなピンクを使えば、ピンクの力をより自分のものにできるのではないかと思います。
模様としては、穏やかで、鋭角ではない形。
さらに禁止を表すボーダーなどは避けたほうが良いと思います。
リビングではストレスの少ないピンクがオススメです。
優しさを感じたり、安らぎを感じるピンクがオススメです。
模様に使うようなら、黄色・黄緑・水色などと一緒に使うと、心理4原色の柔らかな感じになりますので、落ち着くかと思います。
模様としては、花畑のようにたくさんの色をまぜることができるもの、果実などの実りを表すものが良いでしょう。
ダイニングでは、黄色を感じさせるピンクや黄色との組み合わせがコミュニケーションを活発にしてくれるでしょう。
オレンジなどとの組み合わせも、食欲を増してくれるのでオススメです。
黄緑との組み合わせは、優しさの中にも好奇心が感じられて良いと思います。
模様としては果物や水玉、ストライプなどですが、リズムよく繰り返されるのが良いかと思います。
トイレでは安らぎを感じるピンク、生き生きとしたピンク、健康な内臓の色を感じさせるピンクなどが代謝を上げる効果が期待できます。
模様としては、直線的なもの、流れを感じるものなどがオススメです。
洗面所は女性が色々な意味で裸になる場所です。
浴室が近ければ、洗面所で裸になります。
つまり、肌を通して一番色の力を受けやすい場所です。
一つの意見ですが、濃いピンクは女性性を高めるのには大変向いている色です。
また、濃いピンクは赤に近いので、時間を長く感じさせるため、短い時間でも長い時間いたかのような効果があります。
つまり、テキパキ動けるようになるということなので忙しい朝に人が滞らないという意味でも良いかと思われます。