なぜインクジェット壁紙の参入企業が増えているのか?
前回、理由の2つ目として、インクジェットプリンターの価格下落と高性能化による
参入障壁が下がった話をした。
では理由その3。
これは自分の所感だが、「白い壁紙」がここ10〜15年で飽和したように思う。
もちろんこれは時代の流行、トレンドなので仕方ないが、猫も杓子もという感じで部屋は真っ白く覆われていき、まぶしいくらいだった。
事実、壁紙メーカに勤務していた自分たちはその売れ行き動向を把握していた。実に市場に出回る壁紙の80%以上を白、白系の壁紙が占めていた。
つまり面白い壁紙、おしゃれな柄の壁紙を開発した所で所詮白い壁紙に売上で勝るものはない。なんともデザイナーのやる気を削ぐ時代だった。
まあ流行なんて繰り返すのが世の常。ジーンズだってパンタロンが流行り、ストレート〜スリムになり、また裾が広がり〜なんてことを繰り返しているし、それは壁紙だけのことではないのだ。柄物や聚楽(じゅらく)壁が大半だった60〜70年後半あたりの日本の住宅は、ヨーロッパの青い海辺に立つ真っ白なしゃれたハウスに魅せられ、徐々に白いクロスに侵食され始める。結果、使いやすいというか「何も考えなくてもいい」白い壁紙全盛時代となった。
しかしながら、ここ数年(6〜7年?)だろうか。
「アクセントクロス」なる言葉が世に出回り始める。
「壁も天井も真っ白で面白くないインテリアに、1面でもいいからなんか違う色柄の壁紙貼らない?」
という動きだ。漸く何処かの誰かが真っ白すぎるインテリアからの脱却を試みはじめ、ご丁寧にアクセントクロスなんて言葉まで作ってくれたw。そしてやはりそれは皆潜在意識で感じていたらしく、あっという間にアクセントクロスが流行する。
白または白にしか見えないうっすーいプリント柄を入れた壁紙ばっかり作っていた壁紙デザイナーにも漸く面白みが出てきたのである。
だから少しずつ、壁紙の大手商社も柄物に力を入れ始めたのだった。
「でもせっかくのアクセントだったら、量産壁紙(=パターン柄)でなくても面白い壁紙貼りたいんじゃね?」
そう、皆さんがよく知るサン●ツ等で販売されている量産壁紙は、基本ほとんどがパターン壁紙。だったら1面に大きな絵を描けたり、綺麗な風景で飾りたい人もいるだろう。
そんな背景があり、こうして我が社を含めインクジェット壁紙業界に参入し始める企業が増えてきたのだろう。